300ドル(=24,000円)で家を建てる

インドの方とメイドインジャパン製品について話していると「日本製品の品質は優れているのはわかっているが価格が高い」と良く言われます。逆を言えば、価格をある程度あわせていけば、日本品質のメリットがあるので巨大なインド市場で大きく販売することができます。例えば自動車でいえば、先駆者であるスズキは勿論、トヨタETIOS、ホンダHNSC、日産MICRAとインド市場に合わせた小型モデルを販売する方向です。タタ自動車のナノは当初10万ルピー(約20万円)で販売すると発表して世界を驚かせました。結局現在はその倍の20万ルピーで販売していますが、それでも圧倒的な安さであることには変わりなく、ここに来て販売台数が急増しています。

ナノは自動車ディーラー以外にビッグバザールというスーパーでも上の写真のように販売されています。ビッグバザールは全インドに100店以上展開している中流向けスーパーです。今まで2輪車を乗っている人たちの4輪車へのエントリーカーとしての需要があります。


このブログで以前伝えた教育機関向けの3,000円パソコン開発など、びっくりするような安い価格をまずはブチあげて開発を行っていくというやり方です。


次は家を300ドル、即ち、日本円で24,000円で作ろうというコンテストが発表され話題を呼んでいます。インド国内というよりもアメリカのHarvard Business ReviewのWebサイトを通じて募集されたコンテストで、優勝者には25,000ドルの賞金が与えられます。
このコンテストの中心となっているのが、ハーバード大学のインド人教授であるVijay Govindarajan氏です。


上は応募作品の一つ、全世界から約300点の応募があった。

貧富の差の激しいインドでは投資用にたくさんの住宅を保有する金持ちもいれば、田舎から出てきてものの働き場がなく家族そろって路上生活を余儀なくしている貧しい人々もたくさんいます。この300ドルハウスは貧しい人たちが住む場所を得ることにつながります。
いかに安い材料を使って部材を量産しようとも、300ドルのコストで家を建てるのは至難だと私は思います。でもナノでも当初は夢の夢という批評だったものが、価格を倍にしながらも圧倒的な廉価で市場に出てきて、販売を伸ばしてきています。ローコストハウスも様々な変遷を経て実現されていくような気がします。何故ならば、そこに大きな需要があるからです。