グジャラート州に注目

国土面積329万平方キロ、人口12億人と、広さも人の数も日本の約10倍という巨大国家インド。その上、多民族、多言語の国であり、州が違えば国が違うのと同じと良く言われています。インド進出を考えた時、どの州に進出するかが大変重要です。


日系企業が現在最も進出しているのはデリー首都圏(Delhi NCT)/ハリヤナ(Haryana)州で、最近になって日系企業が急増しているのがタミルナードゥ(Tami Nadu)州です。

最近インド専門家のN氏と話していて、これからはグジャラート(Gujarat)州が有望だと意見が一致しました。グジャラート州有望であるという根拠は、


1)DMICの中心に位置する
DMICとはデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(Delhi-Mumbai Industrial Corridor Project)という日本とインドが協力してデリーとムンバイの間に貨物専用鉄道を建設、民間資金を活用してその沿線地域に工業団地や物流基地を整備し、一大産業地域を形成しようというプロジェクトです。
下の地図はDMICプロジェクトの地図で、真ん中を走っている赤い線が貨物専用鉄道です。そして左側の青い斜線部分がグジャラート州です。この地図でわかるようにグジャラート州はプロジェクトの中心に位置し、尚且つ外洋にも面しており、輸出入に使える大きな港もあります。


2)州財政が豊かである
インドでは電力や水道は州政府が投資しています。州財政が豊かであれば電力や水道などのインフラは整ってくるということです。グジャラート州は黒字財政で、例えば昨年度は日本円にして1,000億円もの黒字を計上しています。赤字に悩む他州、例えばチェンナイのあるターミルナドゥ州は、過去何年も新規発電所が建設されていません。州政府が主体的にインフラ投資ができるグジャラート州の強みです。


元々、繊維、化学、製薬の企業がたくさん立地している州ですが、超低価格車で有名なタタ自動車のナノ生産工場が建設されています。GMは90年代に工場を操業開始、マルチスズキ(Maruti Suzuki)も新工場を同州に建設すると新聞発表しており、これから自動車を中心とした部品産業が勃興してくると思います。
上述したようにデリー首都圏/ハリヤナ州には日系企業328社が進出していて一番多く、タミールナドゥ州240社、マハーラシュトラ州198社の順番です。それらの州と比べると、グジャラート州は現時点では29社と日系企業には縁遠くなっていますが、今後増えていくと思います。


グジャラート州には一つ大きな欠点があります。インドを良く知っている人ならグジャラート州=「酒が飲めない州だね」と反応されます。州の法律で公共の場所での飲酒を制限しており、外国人の場合でも事前に飲酒チケットを取得しないと酒が飲めないところです。下戸の私にはさほど影響はありませんが、仕事の後のうまい酒を楽しみにしている人にはつらい場所かもしれません。