中国産大型機C919

2年毎にイギリスで開催されるファンボロー国際航空ショー(Farnborough International Airshow)は今年が開催年に当たり、7月19日から25日までの1週間で10万人の来場者を集めました。ボーイング787ドリームライナーがシアトルからのトライアルフライトを行い、年内の納品開始に向けて最も注目を浴びました。ボーイング787は、三菱重工富士重工川崎重工などの日本メーカーが多くの部品を製造しており、それら重工から中小製造業に部品発注されています。


ボーイング787と同様に日本の中小製造業が部品受注しているのが、三菱航空機社が開発を進めているリージョナルジェット機MRJです。ファンボロー国際航空ショーにブースを設けて、2014年の初納品に向けて熱心は売込をしていました。

 (↑ 日本製MRJ)


日本ではほとんど報道されていませんでしたが、この航空ショーには中国製の大型ジェット機C919もブースを設けて宣伝していました。MRJが70人〜90人の中型なのに対して、C919は150人〜170人と大型サイズの旅客機で、市場投入は2016年と言われています。

 (↑ 中国製C919)

C919のエンジンはフランスCFMインターナショナルと中航工業商用飛機発動機有限責任公司合弁会社が中国国内で生産するなど、当初30%の国産化比率を目標としています。

かって日本とドイツからの車両輸入、技術導入に頼っていた中国の高速鉄道の車両や運行システムが、徐々に中国製に切り替わっています。広大な国土、人口、活発な経済活動、鉄道や航空機などの長距離交通インフラ市場に食い込みたい海外メーカーをうまく取り込んで、国内技術発展につなげるという中国のしたたかな技術戦略です。
もちろん、鉄道よりももっと軍事転用技術の多い航空機産業なので、鉄道のように簡単には技術移転は起こらないと思いますが、圧倒的な市場を背景とした中国政府・産業界とアメリカ(ボーイング社)、EC(エアバス社)の覇権争いは必然です。